私にとって彼を語れるただ一人の人、それは。
ト リ ニ テ ィ
限られた逢瀬の時。
…なのに、彼女は浮かない顔で その少女めいた唇をとがらかせる。
「ちょっと竜崎さんミサのライトから離れてよ」
「はいすみませんがこれ以上離れるのは物理的条件が許しませんので」
「何よそれ。誰が許さなくてもミサが許すから離れなさい!」
「だからですね 鎖の材質からしてこれ以上離れるのは不可能だと言ってるんです」
「…竜崎もミサも…いいかげんにしないか。」
うんざりした彼の声に、彼女はびくりと反応する。
「ごめんね、ライト…」
甘えた声音。愛らしい仕草。それは無意識の。
彼女のそうした信号が表す事実は判りきっている。
『弥 海砂は夜神月を愛している。』
この一言、これが全て。
だからこそ彼女は、私にとって彼を語れるただひとりの。
***
故に私は反論する。
「ミサも…いいかげんわがままだな…」
逢瀬が終わり、嘆息するあなたに反論する。
「…そんなことは言わないで下さい。」
「何だ?竜崎、いつも迷惑そうに言ってるくせに。」
「私はいいのです。」
嫉妬とは常に双方向的な感情だ。
そう、彼と 彼を愛する彼女と。私はその双つを共に愛し、そして。
嫉妬している。
何故なら私は彼らの間にはけして入り込めない、彼女が私達の間に入り込めないのと同様に。
そしておかしなことに 彼もまた 私と彼女の間には入り込めない。私と弥の間に共通する ある親密性の間には。
つまり私達はどれ一つ欠けても完成しない、そう、この状態に名を付けるとするならば?
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トライアングルというよりは、トリニティ(三位一体)なイメージ。
中心である月すら うかうかしてるとLとミサに置き去りにされそうな展開。イイですね♪
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