朝、起きたときから 何だか頭が重かった。
 だから今日は、講義をサボって中庭で休んでいようと決めたのに。









           えよ 













 それなのに、
 こいつはどこからかやってきて 僕の頭痛をますます酷くする。

「夜神くん夜神くん」
 ああ、うんざりだ…そんな思いを込めて、僕は隣に座り込んだ やつ に微笑む。

「何、流河」
「このチョコレート美味しいですよ。おひとついかがですか」

 知るか。そう吐き捨てたい気持ちを堪え、僕は万の忍耐でもって答える。
「ああ、ありがと。でも今は…」

「ベルギーから取り寄せた高級チョコレートです」

「今は、食べたくないんだ」

「王室御用達のショコラティエが作ったので、味は保証します」

「……」
 もう答える気も失せて、僕は目を閉じ 頭を抱える。

「夜神くん」

「なに」

「具合が悪いのですか」

 見りゃわかるだろ。もうこれ以上、
 僕に構うな
 近づくな
 話しかけるな…

 と、目の前に何かが近づく気配がする。
 ちらりと確認すると、それは チョコレートでべたべたになった、手のひらで。

 僕は反射的にのけぞった。冗談じゃない。そんな手で触るな。

「ああ、失礼」

 ぼくの非難のまなざしに、流河は立ち上がった。
 それでいい。手を洗いに行くかどうか知らないが、お前が行ったら僕もここを去ってしまおう。

 そう思った僕の顔に、流河の顔がぐい、と近づいてきて 
                                   こつん、 と 
                                          額が触れた。

「37度…8分というところでしょうか。」
 鼻先が触れんばかりの距離で、流河が呟く。

 目を閉じる。

 甘い匂いがする。

 
「…」
「これはいけません、熱が上がっているみたいですね。
 夜神くん、お送りしますから今日のところはお帰りなさい」

 煩い。うるさい。
 ぼくは火照った額を押さえながら思った。

 熱が上がってるって??




                                  お前のせいだ。
















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  いろいろともどかしい感じのL月で。
  ruyはコートドールの板チョコが好きです。。(チョコマニア)


 *2006.05.27再録にあたって微修正。




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