から








 寒







 気がつくと、座ったまま意識を飛ばしていたらしい。冷え切ったフロアと同化してしまったような体温に、私は小さく舌打ちした。

 私にとって眠りとは、疲労の末に肉体が精神を押さえ込むような営みだった、
 だからそれは休息でも癒しでも何でもない…
 それは、機械的にこなされる作業の一部、なのだ。


 それでもこうして一人で目覚めるのは久しぶりだ、 と、 私は思う、
 いつも私が引きずり込まれるようにして眠りに陥った後、毛布をかけてくれた「彼」は






 もう居ない。






 傍らに在った温もりはもう、…

                                …だからなんだというのだ?






 ずっと一人で何とかしてきた、頼れるのは自分だけだったから。
 他人に期待なんかしたことはなかったし してはいけなかった、
 勝手に期待して勝手に裏切られるばかばかしさといったら筆舌に尽くしがたい。


 だから毎晩のように「彼」が私に毛布をかけてくれることなんて別段嬉しくも無かった、寒いだろうと気遣ってくれているのは知っていたが気遣いたいなら勝手に気遣えばいいと思っていた、それで「彼」は〈他人に親切にふるまいたい〉という虚栄心を満足させるのだろうとそんなふうに捉えていた、全てがそんなふうに合理的だった、だから…


 一人の夜がこんなに寒いなんてことは今まで気づかなかった、
 気づこうともしなかった、孤独がこんなに怖いなんて




 …いや違う、怖いのは 独りで居ること では ない…




 今や明確に識別できる感情に、唇を噛む。この感情を与えたのはお前、おまえだ。
 なじりたい、罵りたい、この寂寞、この冷たさに抉られる痛みを教えてそして伝えたい、


 伝えたい、お前が必要だということ、お前が恋しいということ、お前をしているということ








 

 「…ばかげている」









                  でも私はそのばかげたことをこんなにも欲しているのだ。

















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 わたしをゆだねられるのはあなた
  あなた だけ だから、 どうか。



 …手錠が外れてLが死ぬ直前くらい?









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