暗闇を切り裂く    キ。


 
「…!」
 僕は 瞬間、目を逸らした。

「雷は苦手?」
「…いえ…」
 気遣ってくれる松田さんに、僕は青ざめた笑みを返した。

「雷に怯えるのは罪人の証だと言いますが。」
「…竜崎。」

 何が言いたい。と、静かにLの眼を見据え。
 次いで鳴り響く雷の音と共に、室内が真っ暗になる。

「…停電。」
「ですね。」
 不安げに顔を見合わせる僕と松田さんに、Lが淡々と言った。

「心配ありません。すぐに予備電源が付くでしょう。」


 しかし、なかなか電気はつかない。松田さんが言った。
「懐中電灯か何か、探してきましょう。」

 暗闇の中、僕とLだけが取り残される。
 沈黙を破る凄まじい音。僕はまた僅かに身を竦め…


       窓際へ、寄った。


「月くん?」
 いぶかしげなLの声。
 
 ガラス越しに灯の消えた街を見下ろし
             荒狂う空を見上げ。


「…雷が 苦手ではないのですか。」
「…いいや。」

 僕は答えた。

好き        なんだ。」


 あの光を。閃く刃のような光。
 どうしようもなく 
               入ってしまう。


「雷に怯えるのは罪人の証、と言ったね。」
 僕は微笑した。

「じゃあ 雷に魅かれるのは?」


 
        
                   アノ刃デ切リ裂キタイ切リ裂カレタイ
                   
 ス 出ス  ル 荒 ル…





「月くん」  
 気が付くと、Lが。僕の肩を掴んでいた。

「何。」
「危険です。こちらへ。」
「危険って。」    
        
 僕は笑った。

「雷がここに落ちるわけでもないのに。何で?」
「分かりません。危険な気がしました。」
「何それ。」


 笑って手を振り払おうとした僕の手がLの腕に捕らえられる
                                   目が合う
                                       昏い瞳に雷光が映る。
 


 …ああ、お前もまたあのを持っているね。
 僕を暴いてよ 何もかも引きずり出してよ お前ならできるだろう?


      ど ち ら も 同 じ   破 滅 の 予 感 。


            


                          …身せるは、険にしよ












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 ・オルギア〜orgy〜 (希) 狂宴、狂騒祭の意。



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