私の生涯の唯一の情熱恐怖であった -ホッブズ-



         思い出しり立てられる







「流河はさ」
 それは、他愛ない質問だった。

「怖くないの?」

 例によって会話という殻を被った息詰るやりとりにもいささか疲れた、これは息抜きのつもりで。

「キラがですか」
「殺されること。死ぬこと。命を奪われること。」

「それは、怖いです。」
「…割と、あっさり認めるんだね。」

「怖いことは沢山あります。死ぬこともそのひとつですが、恐怖に序列をつけるとするならば
 死ぬより怖いことは他にあります。」
「例えば?」
 
       「キラを追い詰められなくなること」

       「キラを捕まえられなくなること」

       「キラを死刑台に送れなくなること」


「それができたら死んでもいいの?」
「今のところは。」
「…割とあっさり認めるんだ。」

「怖いと思うことは大切です。人は常に何かを恐怖している。
 恐怖を認めることは恥でも何でもありません。
 認めた後、その恐怖にどう対処するか。それが問題なのです。」

「流河は?」
「立ち向かいます。力をつけ、知恵を蓄え そして、戦う。」

「キラに近づけば近づくほど、ひとつの恐怖に近くなるとしても?」
「それこそ」
 流河はちょっと首を傾げて言った。

「恐怖を克服すること、それが生きることではないですか。」


 ああ、そう。
 じゃあ、ぼくとはちょっと違う。
 ぼくは恐怖と同化する。恐怖を取り込み、自分のものにする。

 ぼくにとっては恐怖なんて 克服すべきものでもなんでもない。
 不安だとか怯えだとか恐怖なんて感情は 時々取り出して眺めてみるような
 そんなちっぽけな モノ に過ぎない。 

 そんなモノと懸命に戦ってるなんて可愛いね、流河。


  ぼくは微笑む。いかにもな賛嘆のまなざしと共に。
 「立派だね、流河。」

 
         この男の










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 「恐怖」を手懐けたつもりの月。そんなことができたら正に神。
 Lに色々教え直してもらうといいです。「屈辱」とかね!(笑)






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