真っ黒に日焼けした子供たちが駆けてゆく。
青白く無感動なぼくらを追い越して。
残ル暑サ
…もーーーーぅお いーーーいぃ かあぁあぁあい…
遠く薄れゆく声に、ぼくは額の汗をぬぐった。真夏日の昼下がり、街角に人の姿は少なく、ただ 世界が信じられぬほど眩しかった。
不意にすべてがマガイモノのように思えて僕はめまいがした、何よりもぼくの横には竜崎が― L、が ― 、
もくもくとただ 歩いていた、ただ歩いて。
それが一番非現実的なことのような気がして、ぼくは、言葉を 吐き出した。
「かくれんぼ、か な」
「…………不毛な遊びですね」
返ってきた竜崎の確かな声に、目をつむる。
「最初から、鬼にしか 勝ち目がない」
ああこれは現実
ああこれは真実
「…鬼にしか勝ち目が無いなら、鬼になればいい」
ぼくの言葉に
「相手を捕まえ 勝ったところで 鬼は目的を失うだけ
逃げおおせたとて 追われる者は長の沈黙に、忘れ去られてしまうだけ」
…ほら、不毛でしょう?
竜崎は わらう。
…そうだな。まるで―――みたいだ。
(それでもぼくは続けるだろう。もう誰もぼくを見つけることはできなくても。この世界から、忘れ去られてしまったとしても)
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残りゆく者の叫び、忘れ去られたものの嘆きは誰にも届かないだろう。
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