名 前 の 無 い 手 紙 








 君が死んでからもう六年になるね。



 それはすなわちぼくが君に勝利してから六年ということになるけれど、正直言うとぼくにはもう、時間の感覚がよくわからない。
 六年前だろうが昨日だろうが百年先の未来だろうが、大して差があるようには思えない、
 あの日からずっと、止まった時の中で生きているような気がしている。


 君との日々のことは克明に覚えている、ぼくと君の殺し合いの日々。
 ぼくは毎日君の事を考えていたよ、そして君もぼくのことばかり考えていたね?

 こうして思いを綴るように君の名をノートに書くことができたらどんなに良かったろうと今でも時々考える。
 それは叶わぬ願いだったけれど、君がぼくの膝の上で冷たくなってゆくとき、ぼくは確かに、痛いほど幸福だったのだ。

 ……君が死んで、ぼくは君の遺した意思と戦ってきた。
 最初にそれと対峙したとき、ぼくはひどく嬉しかったよ。また君に出会えたのだと思って。
 それでもいつからだろう、ぼくを追う君の意思に向き合いながら、ひどく空虚な思いに苛まれるようになったのは。

 君の意思にスペアはあっても、君自身にスペアは居ない。

 そう思うと、君から「戦意」だけが切り離されてぼくに向かってくるというのはまるで悪夢のようだと思った、
 でもそれはいかにも君の仕組みそうなことだと思った、
 君は酷い奴だ。



 ともかく戦っている、ぼくは、戦い続けている、君の居ない世界で。



 ……こんなことをいくら書いても空回りするだけだとわかっている、
 永遠に届くあての無い手紙を書くなんてばかげたことだと君は思うだろうか。くだらない感傷だとわらうだろうか。
 哂われてもいい、書かずにはいられなかった、願わずにはいられなかった、君の意思に立ち向かう前に……




 ……止まった時間の中で、ねえぼくは 何度君と殺しあえばよいのかな?





























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 ニアとの最後の対決前夜あたりに、(落ち着かなくて)
 近くの喫茶店の紙ナフキンとかにざらざら書いて、
(適当に手紙形式にしてみたら)
 灰皿で燃やすとか。
(思っても見ないことを書き出してしまった自分に自己嫌悪する)

 






































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