誰でもわけなく殺せる能力があるのに 一番殺したい奴には手を出せない。
こんな皮肉があるだろうか。


 L  を 
           殺したい ころしたいころしたいころしたいころしたいころしたい。








                 してり合に飽き足らず。








 捜査本部となっているLの部屋に 人は居なかった。

「……」

 こんなことは珍しい。いつも誰かが詰めているはずなのに。荷物を置きながら、僕は無意識のうちに窓の傍に寄った。
 Lの部屋は大抵見晴らしの良いスウィートルームだ。
 ここらは高層ビルが多いけど、それすらも夕刻のこの時間には都会の空を飾る宝石のようにきらめく。

 空虚なバベルの塔の群れ。その華やかさに目を奪われる。
 快楽の絶頂を求めて得られない 不感症の女のように、この街は この国は。

 
 足 掻く。


 ずいぶんと長いことそうして窓際に佇んでいたのだろう、僕は。

「日が長くなりましたね。」
 いつの間にか背後に立つ彼に気づかぬほど。

「声くらい掛けろよ」
「すいません、あまりにも似合っていたもので。」

「似合っていた?」
「夜景が、あなたに。」

 Lは言った。


「とてもとても綺麗      です。」


 Lは 僕のあごに手をかけると すい、と顔を上向けた。 



 その手を振りはらっても良かった。



「…欲求不満の顔をしていますね」
 Lは言った。

「へえ」
 僕はごく冷静な顔で返した。



 その手を
          振りはらっても  
                       良かった。



「・・・Lでも、欲求とか感じるの。」
「ええまあ。」
「まさか睡眠欲とか、食欲とか言わないよね?」

 多少嘲りを込めて呟くと、流河の眼がきろりと光った。死んだ魚のように濁った瞳が 一瞬鋭い輝きを放つ。

「人間の三大欲くらいは持ち合わせているつもりですよ」
「どうだか。」

 僕は笑った。
 それは多分 意図しなくても嫣然と。

 Lが がりりと爪を噛む。僕を見るその眼には先ほどの強い光はもう無くて、あるのはただ
 果てしない 虚無。


「試してみますか」
「面白そうだね」


 僕は窓ガラスに後手を付いた。






 そう これは既にひとつのロジック。


    欲求(したい)の対象(お前)×自分=不満解消


 アルゴリズムに則って、僕は儀式を執り行う。

 殺してしまいたいほど抹消したい奴は内へ取り込んでしまえ。

 り込む、う、、合一さる、じり合う。

 ほら上り詰めるこの瞬間にお前は僕の意識から消える
                                   全て消滅、そして 消失。








 そして朝、痛いほどの光に晒され僕は。


「…なにもかわらないじゃないか」




                                                 (や、むしろ   前にも増して。)






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  直接描写は無いけど致しちゃってます。愛も希望も無い、ただ衝動だけ。








 

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