召しませニッポンreturn`s 〜魅惑のミソ・スープ〜
最近 流河の様子がおかしい。
『何がだ?』
「残すんだ。」
『は?』
「この僕が!手ずから弁当を作ってやっているというのに、残すんだよ!!」
『(ライト…怖い…)そりゃあ、月がいろいろ毒を盛る(召しませニッポンfinal.夜神くんの逆襲!参照)からじゃないのか??」
「あ、あれは…最初のうちだけだ!」
Lには体調管理のための一流医療チームがついていると聞いた僕は、
あれこれと工夫してわざわざ塩分、調味料過多の食事を作るのが馬鹿らしくなったのだった…
それじゃあ何でその後も弁当を作ってやっているかと言うと…、何と言うか、惰性で としか答えようが無い。
そうだ、惰性なんだ。
「とにかくだ!向こうだって嬉々として『作ってください』と言ってたんだ、残すなんてありえないだろ!?」
『いや、俺に言われても…』
「大体、今日のメニューを何だと思ってる!?朝5時に魚河岸で仕入れた最高級の舌ビラメのムニエルに、
下ごしらえに二時間費やしたこだわりのパンプキン・スープだぞ!?」
『……・それって軽く偏執狂の域に達してるんじゃないか?食うほうはヒくぞ多分。』
「何を言うんだ!完璧な料理を目指すシェフの心意気がわからないのか!?」
リューク(目指してたのは新世紀の神じゃなかったっけ…)
「それに…以前はあいつだって何を出されようが喜んで食べていた!
あまりに何でも食べるので一度はシーチキンの代わりに猫缶でサンドイッチを作ってみたほどだ!!」
『……それも一因じゃないのか』
「いや、あいつは無表情に完食してた。」
『……・』
「まったく…昨今野菜だって値上がりして新鮮なものを手に入れるのに苦労してるんだ!不味いか?不味いわけないだろう!?」
『…いや、俺 林檎しか食わないし…』
「くそ…流河め…!」
リュークは肩をすくめた。
『うーん…あいつもともと甘いモンが好きだったろ』
「…」
『だから、ほら、やっぱりクチに合わなかったとか…』
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
僕はしばし 考え込んだ。
*
次の日。
「…ごちそうさまでした…」
「もういいのか?流河」
「はあ」
「食欲無いな…半分以上も残して…どうしたんだ?」
リューク(っていうか…弁当箱いっぱいの羊羹ってどうなんだ?)
弁当箱、空けたら真っ黒。L以外の人間だったらまず恐ろしくて一口も食べれまい。
リュークは何の文句も言わず半分ほど食べたLに拍手を送ってやりたい気分になった。
「…別に…何でもありません」
Lはふ、とため息をつくと そのまま歩み去る。
残された月もため息をつく。
「…・・何なんだ、一体…」
『月・・・そんなに落ち込むなよ…』
「…教えてくれリューク、僕の手作り弁当のどこがいけないと思う??」
すがるような瞳の月に、リュークは
中身が虎屋の羊羹な時点でそれはもう手作りではないのでは、
と言う 根本的な問題を指摘するのを差し控えた。
* **
「ふう…」
「どうなさいましたL、ため息などおつきになって。」
「私と月くんが付き合(知り合)ってから、もうだいぶ経った…(二ヶ月程度)。
毎日手料理を作ってくれるまでの仲にもなっている(無理やりに)。
・・・そろそろ、本格的に…、その…言うべきではないかと思案しているのだが。」
「おお、L…!ではついに!?」
「…しかし、どのように言えばよいのか判らないのだ…」
「それでこのところ、ふさいでられたのですね…。
解りました、不肖、このワタリが日本の古式ゆかしい必殺ワードを伝授いたしましょう!!!」
「…ワタリ…!!」
* **
次の日。
「はい、流河。」
僕は弁当(東京銘菓ひよこの詰め合わせ)を差し出した。
リューク(月疲れてるな…一晩中考え込んでるんだもんな…)
それを受け取るのもそこそこに、Lは言った。
「月くん…実は、折り入ってお話があります。」
「な…何、だよ…」
弁当はもう要らないと言うのだろうか。
お前の作る料理は不味いと言うのだろうか。
昨日一晩中考えても、Lの考えていることはよく解らなかった。
今更けちをつけるくらいなら、最初から作ってきてほしいなんて言わなければ良かったのに。
そう思う僕に、Lは思い切ったように顔を上げ 言った。
「私に…味噌汁を作ってください!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
「ですから味噌汁を!」
強調する流河。僕は はっ と思い当たった。
「まさか、流河…、お前…?」
やつは救われたようにうなずく。
「判っていただけましたか!?」
「…お前…・、パンプキンスープでなくて 味噌汁が飲みたかったのか・・・!!」
「え。」
そういうことではなくてですね、いえそういうことなんですけど、つまりは味噌汁というメタファーに籠めた真意の意味するところは
遥かに深遠かつトラディショナルな日本の求愛的言語使用法に依拠したところでありまして…
とか何とか言い始めるLの言葉はもうどうでもよくて、僕は何だか少しばかりほっとしていた。
「そうか…、何だ。…食べたいものがあったら言えばよかっただろう、りゅ…」
は!!!!!!
(まさか…!??)
〜月の妄想〜
L『ゴホゴホ!何ですかこの煮えたぎった味噌汁は!私を殺す気ですか!?』
月『そ、そんなつもりは…!』
夜神父『月…!お前という子は…!』
L『おお、鬼の様な人ですねあなたは!いやむしろキラのような人だ!キラだ!!!』
月『ご、誤解だ…!』
・・・僕を陥れるための布石かL―――――――――!!!
リューク『ライト…相当…疲れてるか??』
***
「断る!!!!」
きっぱり。月は断固言い放った。
「え……・そ、そんな…!」
予想外(Lにとって)の答えに狼狽し、Lは更なる一言を口走る。
「では、は…墓に入ってください!」
懸命かつ単刀直入な一言も、惜しむらくは 『一緒の』という 修飾語がひとつ抜けていた…
「死ねってことか!?お前やっぱり僕のことをキラ扱いしてるんだな!?
よく解った、もう金輪際お前になんか弁当は作らない!」
「ら…月くん、まっ…!!」
(Lの心の中)ワタリの声『L、押してだめなら引いてみろ…ですよ』
「そうか…!そうなんですね!?月くん!」
「な、何がだ…!?」
「フフ…しょうがないですね…それがあなたのお望みならば言いましょう!!」
「だから何をだ!!?」
Lは高らかに宣言した。
「…一生あなたに付いていきます!」
ストーカー宣言ーーーーー!!!????
「…容疑が晴れるまで付きまとう気か!最悪な奴だ!!」
***
二人のやりとりを背景に、リュークはひとり 和んでいた。
『あー…いい陽気だな…林檎、食べたいなあ…』
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リターンズ。相変わらずすれ違いまくってる二人。このシリーズ、けっこう続編のご希望が多かったので まあ結婚まではいかなくともプロポーズくらいはね。
猫缶でサンドイッチを作るのなら、マヨネーズを多めに入れればごまかせなくもないです!(何を) リュークが居るとオチに苦労しなくていいですね!
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