そうぼくをくせ





「警察官に最も必要なことって何だと思いますか?」


「正義感…かな」
「ブー、外れです。」
 …いいけど。いちいちむかつくやつだよな、お前って。

「じゃ、何」
「警察官に一番大切なことは、『職務に忠実であること』です。」
「あ、そう。それは流河の考えだろ?」
「そうです。」
 流河はあっさりと答えた。

「正義感とは 非常に曖昧なものです。個々によって判断基準が異なる。
 ヒトラーにさえ、正義感はあったでしょう。彼なりの正義が。
 現実社会において、虐待されている子供が親を殺したとします。
 例えその殺人に正当な理由があったとしても、警察はその子を捕らえなければならない。

 警察はなされた犯罪に対してのみ動くべきだからです。

 そこに個人の正義感−感情−が挟まってはならない。
 言い換えれば、警察は、正義とは何か、と深く考えてはいけないのです。」



             セイギは  ちゃちゃにする


             

 やめてくれ
   やめてくれ
     やめてくれ
                    
 子供に噛んで含めるような物言いは!



「・・・じゃあ、」
 ぼくは言った。多少負け惜しみだったかもしれない。

「流河はどうしてキラを追うんだ?正義感からではなく、警察のように職務でもないとしたら。」

「私ですか?」
 流河は眼を瞬いた。思ってもみなかったことを聞かれた、というように。

「キラに興味があるからです。」
 まるであまりにも当然のこと過ぎて、思ってもみなかったというように。

「不謹慎だ」
 ぼくは顔を背けた。
「そうですか」
 同じことですよ、と 流河は言う。

「警察は職務に、私は興味に、…それぞれを懸けている。」

「そしてたぶん、キラは 己の正義に?」

「珍しく意見が一致しますね。その通りですよ。」
「・・・よく言うよ。」

 言わせたくせに。

 でもまあ、いいや。
 その通りだよ、流河。

 ぼくはお前なんかに命は懸けないけど お前はぼくのために命を懸けるんだろう?

 いいね、なかなか滑稽だ。


                       (望みどおりころしてやるお前の懸けた安っぽい命のぶんだけ苦しめてころしてやる
                                 お前が僕に与えた及ぼした味わあせた苦さのぶんだけ余計に)



「・・・夜神くん?」

 何、と ぼくは 返事をした。

「夜神くん・・・」

 だから何。
                       「いているのですか?」

 いいや、その逆だよ。

           『ってるんだ。』 と 言おうとしたぼくの頭を流河はそっと抱え込んだのでぼくは
                                                                はばかることなく
                                                             


                                                                     泣いた。
                                                 








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 月は自分のしていることを解っている。あんなに聡明な子が、解ってないわけは無いと思います。
 それでも始めてしまったゲームを途中で投げ出したりはしないし、できない。そんな、絶望的に切ないところが好きです。






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