おなか すいた?
なにか たべる?
甘 美 な る 食 卓
「りゅうざき、ごはん」
「いりません」
*
白い皿は磔台、銀のナイフは処刑刀、フォークはロンギヌスの槍…
「食事はきちんと摂ったほうがいいと思うよ」
夜神月は手元の肉を切り分けながら言った、
「どうして」
だがしかしその上品な白い手もしょせんは肉にすぎないと私は思った。
「どうして食事しなければならないのでしょうか」
肉が肉を切り分けている… くすりと笑う私に小首を傾げ、夜神は言った。
「どうしてって…食べなければ死んでしまうよ」
「食べたくないわけではありません。食事をしたくないだけです」
糖分と糖分と糖分、足りない分はサプリメント…それでも充分生きていける。
知っていますか?中東では食事よりもお茶のほうが重要、一日の間にお茶しか摂らない、そんなひとたちだって存在している…
「決まった時間にものを食べるなんて西洋的な時間区分に支配された現代的な慣習にすぎません」
おなかがすいたらたべる、それが本来あるべき 食事 ではありませんか?
「ぼくに言えるのはねりゅうざき、」
肉を切る夜神、口元に運ぶ夜神、咀嚼する、あぶらにぬれて光るくちびるの、夜神。
「そんなこと考えながら食べる料理は不味いだろ、ってことさ」
「そうですね」
でも食事に相応しい話題って何ですか。
食事について考えるのは食事の時間が一番相応しいのではないのですか。
目の前にあるものだけがリアルなのです、私は・つぎつぎ・移り変わる現実を的確に処理しなければならないのだから、
目の前にいる あなた だけがリアルなのです、私は・
「「ごちそうさまでした」」
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何か知らないがやたら隠微になった。
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