本〜白月最伝説〜







新しい捜査本部が始動して、一週間。




「は〜、やっとここにも慣れてきましたねえ」
「…」
「前までは慣れたところですぐ移動、でしたけど やっと落ち着ける職場になりましたよね!局長!」
「…本当にそう思か松田」
「…はあ…まあ…その、約一部を除いて、です…が…」


〜約一部の人々〜

「ちょっと竜崎…さん!ミサのライトになれなれしく触らないで!」
「いつからミサさんのものになったんですか 思い込みも甚だしいですね、夜神くん言ってやってくださいあなたの所有者は誰かを!」
…僕は誰の所有物でも無いだろ…



「…一部というか…大部分が落ち着いてないみたいだが。」 
「…そうとも・・・言いますね。」
「松田…止めてこい…」
「…え…」


 頭を抱える局長の命に、松田は意を決した。


「じ…、時間ですよ、ミサミサ…」
「えーっ!」
「はいさようなら、ミサさん。とっとと帰ってください。」
「やだー!」

 ぎうう、と月にくっつくミサをこの後月が諭すはずだ。そこをすかさず連れてゆけばいい。
 松田は深呼吸してそのタイミングを待った。

…が。


「竜崎…」

今日に限り、月はミサの相手を松田に任せたまま 思いつめたようにLに話しかけた。

「はい?」
「…その、改めて話があるんだが…」
「話…後ではダメですか。」
「うん…その…恥ずかしいことだから…」 
 うつむいたその頬は、心なしか赤い。
 
 頬を染め、恥じらいながらする「話」…

 Lでなくとも思うであろう。
 まさか これは…このシチュエーションは!!!


「…そうですか、解りました。」
「わ、解ってたのか!?」
 月はやや動揺して竜崎を見つめる。
私も男です。月くんにそこまで言わせるのは本意ではありませんが…、
 しかし、喜んで受け入れましょう!さあ!存分に思いのたけを語ってくださ「ライト、ダメー!!!!」

 Lの声に覆いかぶさるように、ミサの声が響く。
「ミ…ミサミサ、ほら、帰りましょうよ…竜崎がすごい睨んでますよ、僕を…
「いや!」

 月はじたばたと暴れるミサの頭に手をやって、嘆息した。
「ミサ…解ったよ。いいこだからちょっと静かにしててくれないかな?ここに居てもいいから。」
……・・はい………Vv

                L「ちっ」
                松田(何かまた僕が睨まれているような…)

「実は…」

 ためらいがちに言い出す月に、
 ごくり と。
 一同はつばを飲み込んだ。

 次の瞬間 月はキッと顔を上げ、言い放つ。

「前から言おう言おうと思っていたが、今日こそ言わせてもらう!竜崎…背 筋 を の ば せ ! 」

「……………・は????」

「あと、いちいち 好き嫌いするな!甘いものを食べ過ぎるな!お前は間食が多すぎる!
 …大体食事マナーができてない!フォークの持ち方もなっちゃないし…」

「あの、月くん…?」

「それと! 睡眠は八時間だ!不規則な生活は即刻直してもらおう、独りで早死にするのは勝手だが、僕まで巻き込むのは止めてほしい!」
 
「あのう、…話って…」

「もちろん、お前の生活態度の悪さに関してだ!」

 …一瞬にして奈落の底に落ちるLに、月は更に詰め寄った。

「僕だって出来ることならイイ年した大人にむかってこんな話はしたくない。恥ずべきことだ、そうだろう?」
「…そうなんですか…」

 気の無い返事を返すLに、月は整った眉を吊り上げる。
「…さっきお前は『解ってる』と言ったな?解っててやってたのか?嫌がらせか???

「いいえ、私はつい…その…告白だと思って…」

「ああそのとおり告白だよ!偽らざる真実ってやつだ!
 僕はずっと我慢してたし黙っていようとも思ってた!だがもう 限 界 だ !!!!!」

 はあはあはあ…一息に言い切った月の迫力に気おされ、Lは後ずさった。

「あ の、月くんその、落ち着いて…」

「いいか、竜崎。基本的な生活習慣は二十歳前半までに身につけなければならないんだ。
 お前が既にして手遅れだとしても改善の余地はあるはずだ!」
「……・私が二十歳前半以上、というのは既に決定事項なんですね…・・」


                 ミサ「わー…竜崎…、さん…冷や汗かいてる…」
                 松田「月くんの言ってることが正しいだけに 反論の余地がありませんね…」


「あっ そうよ!」
 ミサが我に返ったように、ここぞとばかりにはやし立てる。
「やーい 月に怒られた〜!ザマーミロ、この変態奇人ウザーイ!!

「ちょ…ま…、ミサミサ!ほらまた何かすごい睨まれてるんですけど僕が!!!」

「…・・ミ「ミサ。それはちょっと言いすぎだろう。」
 竜崎が口を開きかけたとき。たしなめるように月が言った。

「この際だから、ミサにも言わせてもらうよ。
 うら若い女子がそんな言葉を使うのは感心できない。

「え ら、ライト…」
「夜神くんVvやっぱり私の事を…」

…例え竜崎が真性の変態だとしてもいや真性だとしたらなおさら本当の事を言ったら悪いことがある。
 個人の尊厳を攻撃するのは恥ずべきことだよ。」

「………………夜神くん…私の事をそういう目で・・・・・・・・・」
 完膚なきまでに地底に叩きつけられたLの横で、月にお説教されたミサは

「はい…ごめんなさい…」

 と、上目遣いに月を見上げた。

「解ってくれればいいんだ。ミサは、素直だね。」

           …きゅんv


月は極上の笑顔を浮べた!
ミサはときめいた!
月への愛が150ポイントUPした!
竜崎からの殺意も200ポイントUPした!!
 

…ドラクエ風の愛憎劇の狭間、月はため息をついた。


「それに比べて竜崎は…」
「…わ…私だって素直ですよ!!」
「…・・どうだか…」
「ホントです!ホラ!!

 Lは背筋を伸ばした。

「やればできるじゃないか!!」
「こ、これくらい当たり前です…」

 曇りの無い、心からの笑顔を浮かべる月に、Lは更に直 立 不 動 の姿勢を取った。

                      松田「竜崎が!」
                      ミサ「あの竜崎さんが!?」
                      ワタリ「バンザーイ!バンザーイ!!」

                      松田&ミサ(!!!???何時の間に…!!)


凄いぞ、竜崎!直立歩行できたんだな!?ピテカントロプスになる日も近づいたな!!
…今まで私はゴリラやオランウータンの類と一緒だったんですか…

「じゃあ好き嫌いも無くせるな??」
「……………………」
「一つできたんだ、他のも頑張ってみよう?」

 …竜崎は苦悩した。
 正に己のアイデンティティを賭して苦悩していた。

 しかし。

…ダメ…?
 憂いを含んだ月の問いに。

「いえ、やります☆」

 …竜崎はとてもいい顔で即答した。

                      松田「お…恐ろしいまでの飴とムチ!
                      ミサ「ライト、すご〜い☆猛獣使いみたい!」
                      ワタリ「お見事です…」


「じゃあさっそくお前の生活改善案を作ってきたんだが♪」
「はい…!?」

十一時就寝、七時起床、これが理想的な睡眠時間だ。軽くストレッチしたら、朝の食事。
 紅茶もいいが、ミネラルウォーターを飲むと更にいいだろう。
 パソコンのモニターは一時間ごとに十分の休憩を取る。
 おやつはどうしてもというのならやむをえないが、僕流にアレンジさせてもらう。
 かりんとうとか、お煎餅とか…。硬いものがいい。砂糖はダメだ、黒糖が望ましいな。
 これだとちょっと運動不足だが、週に二回アスレチックジムに通えば問題は無い。」

「…通うんですか…」
「竜崎、頑張ろうな!!」

「…………………・・・・・・・・・・・・・・・・・・善処します」









 二週間後。 



「おはようございます松田さん!」
「お…おはようございます…」

 松田はびくびくしながらクマ一つ無いすがすがしい顔のLに挨拶した。


「今日も良い天気ですね!早朝ジョギングの後の牛乳は最高ですよ!」
「そ…それは、良かったです…」
「おや?松田さん!クマが出来ている!
「あ、はあ…昨晩徹夜しまして…」
「それはいけない!睡眠時間はたっぷり取らないと体に毒ですよ!はっはっは!

「松田さん、おはようございます。」
「あ…月くん…おはよう。」
「竜崎、最近とっても健康的になったでしょう?」
「はあ…そりゃあもう、なんていうか…別人のように。」
「はは!そうですか!」

 改善案の効果に満足げな月に、キモいから Lの捜査効率が上がらないから、という理由で
 捜査本部一同からの嘆願書が届くのは、もうすぐである。









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 Lのイメージを破壊しつくしました、申し訳ありません。
 実際、背筋を伸ばし 甘いものを食べず 週二回ジムに通うLはもはやLでは無い…





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