*このお話に月は一切出てきません。
*時期的には捜査本部が成立したての12月とかそのくらいとかだと思います。たぶん(いーかげん)。







                        ガンバレ受験生!
                 
〜先生、最後までお前のこと見守ってるからなスペシャル〜











 松田は、先ほどから竜崎と夜神局長の前で指示を待っていた。
 他の捜査員は、皆他の用事を言いつけられて忙しく出て行ってしまっている。

 さっきからなにやら二人の間でひそひそと相談していたようだが、ようやくその結論が出たらしい。

 一体、何を申し付けられるのか知らないが、いずれにせよそれはキラ逮捕に向けての重大事項に違いない。
 松田は気を引き締めて局長の言葉を待った。



「突然だが」
「はいっ!」

 
「お前に竜崎の受験対策という重大な役目を任せる」
「は!い…?」




私とてこの決断を下すのは大変な勇気が要った

 しかし、この中で一番最近に受験を体験しているのはお前だ。
 私も他のものも皆 共通二次世代(*1990年度までセンター試験は共通二次という名称だった)なのだ…
 
 埋められないジェネレーションギャップというものがある…」


 すまん…!と、局長は拳を握った。

「局長…!」

 松田は局長の思いに打たれ、勢いよく返事をした。


「わかりました!大船に乗った気持ちで僕に全てを任せてください!」



 そんな松田に、竜崎がやや心配そうに口を出した。



「大丈夫ですか、あなたその せんたあしけん、受けたことありますか」
「勿論ですとも。国語でも数学でも歴史でもなんでも、秘伝のノウハウを伝授しますよ!」
「ほう、頼もしいな」

 頼りがいのある言葉に、総一郎がやや明るい顔で尋ねた。

「塾講師とかやってたのか?」


いえ、でも今ぼく『ド●ゴン桜』にハマってるんですよ!
 アレ凄いんですよー 読んでるとほんとにT・O大受かりそうな気がしてきますからね!」



「待て待てまてまて!!!」

すいません非常に不安になったので誰か他の方に受験指導をお願いしたいのですが」


「やだなァ心配しないでくださ「大体、課目指導はもとから不要です。私が知りたいのは日本の受験という特殊なシステムについてですから」


 さすがは竜崎というべきか。総一郎は慌ててうなずいた



「わかった、至急手配してくる」
「お願いします」



 もとより他の本部員はみな出払っているところに、総一郎が席を立つとそこには竜崎と松田の二人のみが残された。



「えっと…じゃあぼくは何しましょうか…」
「さしあたっては何もしないでよろしいですよできれば息もしないでください
「はっはっはーやだなァ竜崎!生命活動は自らの意思では止められませんよォ!」
「・・・・・・・・・・・もういいからとりあえず黙ってください


 とは言え、ワタリからの連絡も今のところは無い。
 こんなことはめったにないが、「待ち」の状態である。


「…ほんとはあなたに受験などの用意を任せて今後の方針に就いて朝日さんと話し合う予定だったんですけどね…」
「そうだったんですか!」

 さりげない皮肉にも動ぜず、松田は朗らかにカバンを漁りだした。

「実はこんなこともあろうかと、用意しておいたんですよぼく!」



 そうして松田が取り出したのは…



ト ラ ン プです!ほら、こういう泊り込みの捜査って何かと娯楽もあったほうがいいかなーと思って!」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・二人だけで何やるんですか一体
「・・・・・・・・え・・・・・・あの・・・・・・・・・神経衰弱・・・・・・・・・・・とか…・・・・・・・」



「いいですけど…私がカードをめくったが最後、あなた永久にカードに触れないと思いますよ?」




 そこまで言われて誰が記憶力勝負を持ちかけようか。




「しかしまあ確かに少しばかり時間が空きますね…
 では松田さんには、うまく日本の受験生に紛れ込むため・若者文化のレクチャーをしていただきましょうか」
「は…はい!!」













「これが日本地図です!日本は北は北海道南は沖縄に至る列島により構成されており温暖な気候に恵まれた…
いや、そんな基礎の基礎はともかく、もっとナウヤングのためのハウツー若者知識をお願いします」


・・・・・・・・・・・・・・竜崎ひょっとして日本文化について僕より詳しいんじゃないですか?
「この前日本に来たとき流行してた言葉ですが」


 マジかよ。お前いくつだよ。


 とは言えず、松田はとりあえず昨今の日本の若者文化を担うギャルオタクの動向についてレクチャーした。


「…と いうわけでビックサイトでは毎年このコミックマーケットという催しが行われています」

「ふむ…なるほど、日本の若者は現在、大体がこういった〈ギャル〉系か、〈オタク〉系に大別できそうですね。
 いわゆる正統派や不良系も細々棲息しているようですがインターネットの普及以来、いわゆるオタク概念も従来のものと変化していますし…」


「あのー…やっぱ竜崎のほうが詳しいような」
そうみたいですね。或いはこの知識以上にお詳しいようなら何かの参考に…と思っていましたが」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」













 数時間後。


「うっかり竜崎と二人だけで残してしまったが…松田の奴、大丈夫なのか一体…」


 不安だ・・・と思いつつ、総一郎はドアを開けた。


    がちゃ☆


 すると、なにやら奥からきびきびとした松田の声が聞こえてくる。


      「違います竜崎!」
      「…意外と難しいですね…」




 !まさか!?



「ば ばかな、ありえん…!松田が、Lに何事かを教示できるとは…!?

 さりげなく酷い言葉を吐きながら覗き込むと、そこには意外な光景が控えていた。


「いいですか、こうです!」




 松田は、
 張り切って、
 鉛筆を回していた。




「これが受験生必須のスキル!『鉛筆回し』です!!」
「なるほど…」

「試験問題について考えるときにこう、
 くるくるっと回す!
 ことによって『今自分は思考中である』というパフォーマンスができるわけです。
 これさえマスターしておけばどこからどうみても受験生ですよ!」


「こうですか?」
「そうです!グッド!」



「ま…」



 ま 松田あああああああ!!!!











 受験生の邪魔しちゃいけません!!と 松田が「夜食係り」に変更されるのは、それからほどなくしてであった。




             松田「竜崎…受験日のメニューはカツ丼ですよ…☆」















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 月が全く出てこない話を書いたのは初めてです。ワタリはLの受験のためにお守りとか用意してればいいと思うよ。
 ほんとはわざわざ受験なんかしなくても非合法に入学できんじゃねーの?と思わないでもないですが。

 センターは終わりましたがこれから本試験の皆さん、がんばってください!
















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