メイデイMAY DAY!









  リューク「いい天気だな〜」

「気持いい日だ ね」

 月は腕を伸ばし、伸びをした。
 
リュークと月は、東応大の五月祭に来ている。

  リューク「……なんか珍しいなぁ。月がひとりで学校歩いてるなんて」

「ははっ いつもなら、L……流河のやつがつきまと「すいませんそのチョコバナナ、バナナ抜きで50本ください♪」


 出たーーーーーー!!!!(お化け的なノリで)


     月(しかもそのオーダーどうなの!?)
      リューク(……俺も りんごあめ あめ抜き とか やってみてえなあ……)


  ……困惑する模擬店の売り子には悪いが、見て見ぬふりで逃げようとした矢先。

「あ♪月くんvv奇遇ですね!!!

 
月(絶対待ち構えてたよコイツ!!!!!)

 と いう思いはあくまで隠し、月は

……奇遇だねさよなら

 ……世にも俊敏な動作でその場を通り過ぎようとした。

「お待ちください」
 
 流河も負けてはいない。残像が残りそうな勢いで追いすがると、訴えた。

「せっかくですから一緒に歩きましょうよ」
「悪いがぼくはこれから約束があってね。実行委員の手伝いに行くんだ」
「じゃあ一緒にお手伝いします」
「いやいいよ、お前も忙しいのに無駄な時間を費やすことはないだろ」
月くんと一緒に過ごす時間に無駄などありませんvv

(……キラ捜査の一貫というわけか!?)(←違)……いいけど……退屈だと思うよ?」

「大丈夫!準備は万端です。
 退屈しのぎのニンテんドーDSとアイポっドと『ヒーローず』DVD全巻と無限ぷちプチとドストエフスキィ全集を携えて来ていますので!!」

「うん あのね それって吹雪で閉じ込められた山小屋で十日間ほど退屈しのげそうな装備だよね……」



  リューク「おお♪俺もDSやりてぇー」
  月(お前はドストエフスキィでも読んでろ!!!)




 〜ドッキリ!放送事故編〜




 月と流河は野外にしつらえられた放送スペースをあてがわれた。

  リューク「おっ なんだこれ♪」

「やたらに機器類はいじくるなよ!」

 流河とリューク、二人に言い聞かせるつもりで月は言った。

「失敬な・まだ何もやってま……」


   がらがらがっしゃん!がち・ぼぼーーーー


 ……流河は床に渦巻くコードにひっかかり、マイクを蹴倒した。


「言ってる ら……!」(大音量)

 ……今の衝撃で、マイクのスイッチが入ったらしい。
 慌てる月に流河は頭をかきながら 言った。

「すいません月くん決してわざとじゃないんですただこんな狭い場所にあなたと二人っきりだと思うと何かドキドキ☆してしまって あ 断じて言い訳じゃないですよむしろ本音と言いますか」(大音量)



「ス イ ッ チ 切 れ ー !!!」







  〜迷子放送編〜




 そこに、実行委員が顔を出した。


「……あのー、お取り込み中失礼しますが、迷子放送を お願いしたいんですけど……」
「あ、はい」

 月は慌てて笑顔を作った。

「それで、迷子の名前は?」
「それが、ちょっとまだ……、泣いてばかりで……」
「あ、それではこちらに連れてきてください」

 連れられてきたのは、小さな女の子だった。
 知らない大人に囲まれて不安なのか、はんべそをかいている。


「ああ、怖かった??かわいそうに」


 月は女の子の目線にあわせてしゃがみこんだ。

「もうだいじょうぶ」

 にこっ。
 微笑む月に、女の子も思わずみとれて泣き止んだ。
 その隙に、月はいろいろと聞き出していった。

「お名前は?年は?……うん、うん……
 わかったよ、今お母さんを呼んであげるから」

 そう言うと、月はポケットから飴玉を取り出した。

「はい、あげる」
「…………」

 女の子はぽっとほおをそめると、はにかんで呟いた。

「ん?何?」
「……あのね、あのね、あたし、
 しょうらい、おにいちゃんのおよめさんになってあげるvv

「あはは、ありがとう」

 可愛い告白に月がまた極上の笑みを浮べた。


    リューク「……月……刑事になったら聞き込み担当とかやればいいんじゃないか??」


 ……それを見て、流河がくいくいと月の服を引っ張る。


「月くん、わたしにもアメください。将来あなたのお嫁さんになってあげますから」

「 お 断 り だ 」

「冗談です。じゃああなたをお嫁さんにしてあげますから」
じ ゃ あ っ て 何 。ますますやる気うせたよ!!」

 ……流河は黙りこむと、女の子(の、手の中のアメ)を凝視した。

「な……何……」

 じーーーーーーっ……

「う……わああああああん

 女の子は恐ろしさの余り月にしがみつくと、わあわあと泣き出した。
 月は女の子を抱っこしてやり、流河をにらみつける。

「泣かせるな!」
「泣かせてません。わたしの顔を見たら勝手に泣き出したんです。
 わたし傷つきました、わたしも月くんの胸で泣いてもいいですかvv

「いいわけあるかああ!!!」







「……つ……つかれた、何だか異様に疲れた……」

   リューク「なーなー 俺にも林檎は無いのか?」
   月(うんうんリューク、ちょっとあっちの隅っこでおとなしくしてたらやるからな)
   リューク「やったー!」


   ……リュークはアンプやスピーカーなどの音響機械がごたごた置いてあるへと移動させられた……。





 〜落し物編〜





 迷子が無事引き取られてから三十分後。
 先ほどの実行委員がもう一度顔を出した。

「すいません、今度は落し物です」
「ものは?」
「スカーフ……ショール?ストールっていうのかなこれ?
 今流行の 巻き物 なんだけど、色は淡い薄紫みたいなピンク色みたいな……」

「わかりました」

 ぐい、とまた流河が月の服をひっぱった。

「何?」
わたしも放送してみたいです
「……できるのか?」
「任せてください」

 流河はすうと息を吸い、マイクのスイッチをオンにした。

「あー あー テス テス」

  月(……意外にまともだな……)

 律儀にマイクテストをこなす流河に、感心すら覚えた月であったが。

「マイクテスト マイクテスト」
「マイクテスト マイクテスト マイクテスト」
「マイクテストマイクテストマイクテス……「いつまでやってるつもりだ;」

 月は急いでスイッチを切った。

「え いや でもマイクテストはしておかないと肝心なときに音がでないかもしれないじゃないですか」
やりすぎだ;ってかさっきから思い切り良好だったろこのマイク!!
「わかりましたよ。では今度こそ正しい放送を……」

 流河は再びマイクのスイッチを入れた。

「お客様に申し上げます」


   よし まともな出だしだ!と月はうなずいた。


只今マイクのテスト中、マイクのテスト中でございます


 ……月は急いでマイクのスイッチを切った。


「何するんですか、ひとがせっかく正しい言葉づかいで放送しているというのに」
言 葉 づ か い の 問 題 じ ゃ な い。。大体こんなこと、申し上げることじゃないだろ!」

「わかりましたわかりました、今度こそちゃんと放送しますから」


「お客様に落し物のご案内でございます。
 スカーフのようなショールのようなストールのようなものがただいま本部に届けられております。
 薄紫のようなピンク色のようなスカーフのようなショールのようなストールのようなもの
が届いております。
 お心当たりの方は本部までおいでくだ」

 ぶち・

 月は 問 答 無 用 でスイッチを切った。


「何ですか月くん、いったいどういうつもりですか」
お前がどういうつもりだ!!
「え……落し物のご案内のつもりですが」
不案内にもほどがあるだろ今の放送!」
「……先ほどの方の言葉を復唱したつもりまでです」
落 し 物 は 一 体 何 なのか、この上なくわかりにくいよ!」



「……あのお、夜神くん、今の放送は……」
 さすがに怪訝そうな顔をして実行委員がやってくる。


何でもありません!ちょっと間違えまして」

あっ じゃあいっそのこと『布が届いてます』くらい簡潔にしたらよかったですかね!

何だその『思いついた!』みたいな表情は!!
 もういい、ぼくが放送する!お前はそっちの隅っこでおとなしくしてろ!」



  ……流河はアンプやスピーカーなどの音響機械がごたごた置いてあるへと移動させられた……。



      リューク「……なんか混んで来たな;」





 〜催し物編〜




 引き続き、放送の仕事が入った。


「催し物の案内放送お願いしまーす」
「はい、わかりました」
「これ、原稿でーす」



……ご来場のお客様に、催し物のお知らせでございます。
 午後二時より、正門前にて 合唱部による演奏会がございます。
 プログラムは、ドボルザーク、ブラームス、エルガー、モンテヴェルディなど
 選りすぐりの作曲家達による聖歌、アヴェ・マリア。
 美しい調べをどうぞお楽しみください


 同じ内容をもう一度繰り返すと、月はひといきついた。









 五分後。


「あのーーー……」

 先ほどの実行委員が微妙な表情でやってきた。

「はい、今度は何ですか?」
「いや…その……」

 言いにくそうに、彼は呟いた。

「さっきの放送なんですが……プログラムの内容が『ど ら え も ん』になってたんですけど……」

「はあ……って、ええええ?

 月は今読んだばかりの原稿をわしづかみ、熱心に読み込んだ。
 そして気づいたのは、

ボルザーク ブームス ルガー モンテヴェルディ……」

 特定の音源の音節だけを切り離し、別のメッセージを作る……
 これは初歩の暗号術を応用した……応用した……


     リューク「いやがらせ?」


「り り りり 」

 月は紙を握りつぶした。


「りゅううううがあああああ!!!」
「はいなんでしょう」


 振り向いた流河の前には。小型のミキシング・マシン(音響機器)。。


「それは……?」
「ちょうどこの辺に機材があったので、みようみまねで繋げて見ました☆



 いやぁ 月くんの言葉から抜き出した音節を違和感なく繋げるためにイコライザ操作☆なんかもしてみたんですが、
 どうでしょうわたし DJ の才能ありますかねえ……




「ふざけんなばかやろおおお」



 がたあああん!月が蹴倒した機械ごと、流河もひっくりかえった。


   リューク「月がキレたーーーー!!!」


「……何するんですか」

 流河もゆらりと立ち上がる。


 ……マイクのスイッチが入ってしまったことに気づいた者は、誰も居なかった。









「いやあ晴れてよかったなあ」
「ほーんと!おにいちゃんびっくりするよお、お父さんが来てるの知ったら!」
「いやなに、りゅうざ……お友達の様子も気になるしな!」


 ほのぼのと会話する父娘に、突如大音量で




 『ふざけんなばかやろおおお』




 ……という月の声が聞こえてきた。

今の……は……」
「お……兄ちゃんの声??」


 唖然とする二人に、続いて聞こえてきたのは。



『バカって言ったほうがバカです』
『一緒にするなこの馬鹿』
『一回は一回で……あいこでどうでしょうバカ?』
『じゃあ僕が馬鹿って言ったら最後だな馬鹿』
『どうしてですか私のほうが一回多くいわれてますよバカ』
『は?マジか?数えてるのか?馬鹿じゃないの?』
『数えてます7回ですバーカアーホまーぬーけー』




 ……低レベルになりつつある壮絶な言い争いに、まずは夜神総一郎が我に返った。



「い いかん!とめるんだこの二人を!」
「お おとーさん!」


 総一郎が走り出そうとした瞬間、流河の一言が響きわたった。


 『おまえのかーちゃんでーべそ!』


「幸子は出べそじゃねえええー!!」

「お、お父さんがキレたー!!!」









 その後 放送スペースに乱入した総一郎が加わった舌戦は泥仕合の様相を呈したが。
 あおざめた粧裕が駆けつけ、涙ぐんで

お兄ちゃんとお父さんのバカー!!!

 と叫ぶに及んで 強制終了とあいなったという……







粧裕「もぉ信じらんない!大キライ!!」

総一郎「すまなかった、ついカッとなって」
月「粧裕ごめんな……ほら、流河お前も謝れ」


流河「……すいませんでした……
    (夜神粧裕……ノーマークだったが、この事態収拾能力はあなどれない……!)」






          リューク「……りんご……月、くれなかった……」






















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 そういうわけでこの話もどこで終わらせればいいのかわからなくなったので強制終了的に終わります。
 ちなみに救難信号の「メイデイ」、語源はフランス語で「わたしを助けて」だそうですv


 








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