ドライブに行こう!Part2.〜君までの距離〜
Lとの屈辱のドライブから約二週間。
僕は意気揚々と捜査本部になっているLのホテルに乗り込んだ。
「はは!遂に僕も免許を取ったよ竜崎!」
松田さんや相沢さんが驚いたように僕を見る。
「え…ってこの前教習所に申し込んだばかりって…」
「早すぎないか?」
「はは☆面白くて毎日通ってたら取れてしまいました。」
この僕にとって、免許を取るのなんて簡単すぎてあくびが出そうだったけどね!
Lは表情を変えずに言った。
「そうですか。おめでとうございます。実は私も新車を買ったんです。」
「え…あのRX8は??」
「あれは…諸事情により廃車となりました。」
…僕は事情とやらには金輪際触れまいと決心した。
どうせあのむちゃくちゃな運転であちこちぶつけまくったに違いない…!
「…で、新しい車って?」
「まだ乗っていないのですが。
よろしければ今夜当たりまたドライブに誘おうかと思っていました。」
…危なかった!
「悪いけど今夜は「わ〜!ちょうどいいじゃないですか竜崎!ライトくんの運転見てあげたらどうですか?」
松田さん…!悪気のかけらも無いのが逆に迷惑なんですけど…!
「あ でも人様の新車に…」
「私なら構いませんよ。もっとも、怖いのならば止めてもいいですけど。」
…カチン☆
「…はは。面白いこと言うね竜崎は。」
「そうですかvでは今夜」
いいだろう、L。
僕の華麗なドライヴィング☆テクを見せ付けてやる!!!
*
「…で…車はどこ?」
「コレです。」
「…って…何も無いけど…」
そのとき、辺りの空気がゆらりと揺れ 次の瞬間には車が現れていた。
「ステルス・カーです 特別に誂えました。」
「0 0 7 か よ !
ていうか町中をステルスで走ったら明らかに迷惑だろ!?ぶっちゃけ事故る!」
「装甲は戦車並ですから心配いりませんよ。相手がぺしゃんこになるだけです。」
「だからそれがダメなんだって;」
「こちらの安全が図れれば万事OKです。」
「勝手なヤツだな…」
「免許取りたては危険ですから、最大限用心しておいて損はありません。」
「…竜崎…?」
まるで僕の免許取得に合わせて買ったような口ぶり。
いや、まさか…
「…まあ平気だよ。
そもそも運転なんて下々の者にやらせるものであって、高貴な身分の人間が自らやるものではないからね。
免許も、とりあえずどんなものか取ってみただけさ。」
「…今さりげに凄いこと言いませんでしたか?」
「気のせいだろ。ま、それはともかく今日は僕が運転してあげるよ。」
『…お前が何様だライト。』
(はは、リューク。…聞こえてるよ?)
『!!!!』
ともかく キーを受け取る。
「??…リモコン式なのは良いとして…やたら付属のボタンが多いな…(ぽち)」
ガチャ☆ウィ〜ン ドガガガガガガ
…駐車場の一角が 蜂 の 巣 になった。
「ああ、それはマシンガン発射ボタンです」
「先に言え!ていうか付けるなそんな機能!!」
「いつ敵に襲われてもこれで安心…」
「生憎だけどマシンガン使わなきゃ身を守れないような敵に遭遇する予定はないよ」
「そうですか…因みにこのボタンを押すと脱出装置が作動して、一分後に自爆するんですよ☆」
「自爆までするの!?」
「フフ…驚いて頂けたようですね」
「そりゃあね;」
「さあ この最強の車に乗って行きましょうか!」
「どこの戦場へ向かう気だ;」
「恋という戦場における最強の武器、それは愛…!」
「聞いてないよ。ていうか何ちゃっかり運転席に座ってるんだお前!」
「あ すいません」
かちゃ
「レディのドアを開けて差し上げないのは紳士失格ですよね♪うっかりしてました。」
「違うッ!(もはやどこからツッこめばいいのかすら判らないが!)
今日は僕が運転するって言ったろ!さっさとどけ!」
「ああ、運転席に座りたいのですか。どうぞ。」
(いやに素直だな…)
「ふ、ふん。最初からそうすればいいんだよ…って…」
…キーを差し込んでも、エンジンがかからない。
「あれ…??」
そのとき、Lがおもむろに口を開いた。
「ゴゥ!!」
「な 何!!?」
ブゥーン…
動いたーーーーーーー!?
「キーは私の声紋を登録してありますので、私以外の人間には動かせません。」
生 体 認 証 キ ー !?んなバカな!
「フフ…最先端ですからね☆GPS搭載ですので行き先登録しておけば
目的地まで勝手に連れていってくれます。」
ギュイーン!
…ハンドルを動かさないのに遠ざかる信号や街並み…信じられないが、本当のようだ。
「っていうかこれ免許必要無いんじゃ…?」
「いえ、最低限の方向転換や信号の判断は人間に任せられておりますので。」
「へえ……じゃあ今しがたの信号無視はお前のせいなんだな??」
「そういうことになりますね」
「涼しい顔して言うな!」
「ライト!」
びくぅ!
「な…いきなり大声で呼ぶなよ!」
…車が右に曲がった。
「…………………・」
「ライト!ライト!…ライトVv」
「ええいうるさい!永遠に右にしか曲がらないつもりか?ぐるぐる回ってるじゃないか!」
「ライトv」
「しかもそれ絶対RじゃなくてLの発音だろ!本当にイギリス帰りかお前!?」
「…るわぃと!」
「わざとらしく良い発音にするな;」
「…私はただ右折が好きなだけです。左折は難しくて…」
「嘘つけ!普通逆だろ!ていうかこんな存在自体が反則な車運転するのに難易度なんてあるわけないだろ!」
『ライ…』
「まだ言うか!」
「…私は何も。」
(! リュークか!)
『何か様子がおかしいぞ、ライト。』
…本当だ。後続車が近すぎる。自転車、歩行者もだ。
「こっちは速度も間隔も(一応)守ってるのに危ないな…見えてないのか?」
…見えてない…ステルス!?
「今やめろ!すぐやめろ!即刻やめろおおおおお!」
僕はLをがくがくと揺さぶった。
「大体!今ここで消えるメリットがあるのか!?」
「…メリット…」
ぴくりとLが動き、僕の腕をつかむ。
「な…んだよ」
「今消えるメリット…それは、他人の視線を遮断できることです。」
「な…遮断してどうする気だ!?」
僕は言い知れぬ焦りを感じた。
「…あなたに…言いたい事があるのです…」
僕の腕を掴むLの手にますます力がこもっていく。
な…、予想外だ…
そもそも…今日はいつにも増して不可解な発言が多すぎる…なぜ…
まさか…この場でキラだと白状させる気か…?それとも、…
「ライト、私は…」
がっくん!
車が急に右折した。
「うわああ!」
僕は衝撃でバランスを崩し、メーターの横に手を付いた。
ぽち☆ちゅどーん!!!
「…ああ、ミサイル発射ボタンを押してしまったようですね。」
だから余計な機能をつけるなああああ!
『おい、ライト。街が燃えてるぞ…』
「……」
「どうします、名乗り出ます?」
「…いや…いい…ステルスモードで早急かつ迅速にホテルまで戻ってくれ…」
僕は力なく言った…
*
「あ、おかえりなさーい☆ ライトくん!どうでした?初ドライブ!」
「はは…はあ…」
「???」
*
「どうなさいました。元気がございませんね、L。」
「もう一押しだったのだが…」
「落胆なさることはございません。このような関係というものは、着実にステップアップしてゆけばよろしいのです。」
「そうか…そうだなワタリ!」
・・・二人の関係は、着実に 一歩進んで二歩下がっていた・・・。
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>ステルス・カー…「007 ダイ・アナザー・デイ」ネタ。風景に同化できる車です。
今回自分なりに狙ってみたところもあったんですがすいません無理でした 力尽きました…
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