四月とサカナとお馬鹿たち。
四 月 一 日 。
「あの、月くん、つかぬことをお伺いしたいのですが」
「なんだい竜崎」
「見間違いでなければその、わたしのデスクに
魚 が
……置いてあるように見えるのですが」
「ああ、それはね。日本語で鯖(さば)っていう魚だよ」
「いえ、そこが疑問なのではなくてですね。言いなおします。
その 鯖 に、チョコレートのようなものがかかっている物体が、あるように見受けられるんですが」
「『のようなもの』でなくてチョコレートそのものだよ竜崎」
月は微笑んだ。
「つまりこれをわたしの机に置いたのは月くんですね;」
「ああ、ぼくだけど?」
それが何か?という顔で月は竜崎を見、言った。
「今日は四月一日だろ?ポワソン・ダブリルだよ」
ポワソン・ダブリル。
それは四月一日に、魚形のパイやチョコを食べるフランスの風習のこと。
「・・・・・・確かに魚でチョコですが、コレは・・・コレはお菓子では無いのでは!?」
そう。
菓子とは、なまぐさい異臭を放つものではなかったはずだ。
月は笑顔を崩さずに言った。
「お前二ヶ月ほど前、チョコ欲しいってわめいてたろ?
まとめちゃえばラクかな☆って思って」
「バレンタインとエイプリルフールを!?」
「斬新だろ」
「斬新過ぎますYO!」
にこにこにこにこにこにこにこにこ。。
竜崎のツッコミもなんのその、あくまで笑顔のままの月に、竜崎はおそるおそる訊ねた。
「あの・えーと・じゃあもしかしてこれはわたしにと・・・・??」
「もしかしなくても お ま え の ☆」
「やっぱり!?」
「さ、どーぞ!さめないうちに♪」
月は確信犯的な笑みを浮べた。
「……こ これを、わたしに……」
竜崎は、うつむいて小刻みに震え………………、やがてゆっくりと呟いた。
「うれしいです」
「………………は??」
無表情のまま顔を上げた竜崎は、がしりみしみしと月の手を握った。
「嬉しいです月くん!!
月くんがわたしのために用意してくださったものなら、たとえたわしコロッケでも喜んでご馳走になります!!」
←「ぼくは鬼嫁か!!」
「とはいえ、これはそうとう気合が必要ですね・・・・・・」
すううう・・・・・・竜崎は深呼吸をすると、かっと目を見開き 叫 ん だ。
「・・・・・・射他陀鬼魔棲!!!(いただきます)」
月「なんか暴走族みたいな気合の入れ方になってるーーー!!!」
竜崎は、気合と共にその物体に喰らいついた。
ばく!
「……あーあ・・・・・・食べちゃったか;」
月が残念そうに小さく呟く。
「……んが?」
竜崎はもくもくと口を動かした。
「美味しい・でふ・・・・・」
そう、グロテスクなのは見せかけだけ。
チョコレートソースは砂糖抜き、何種類ものスパイスが効いてまろやかな味わい。
鯖も新鮮なものをやわらかく煮込んである。
もぐもぐと月の顔を見ると、月はぷいと顔を背けた。
「……今日はエイプリルフールだろ、だから……ちょっとしたフェイクだよ」
「……ひゃい(はい)!!!」
「食いながら話すな汚い!」
・ ・ ・
「それにしても何かと思いましたよ、
モノがサカナだけにギョっと驚いたりしなければならないのかと迷ってしまいました」
「はははははそれやってたらお前の今年度いっぱいのあだ名『おやじギャグ』に決定だったな☆」
「……(言わなくてよかったー!!!)ときに月くん、料理の才能まであったんですね」
「おまえはユーモアの才能が無いな。
即食べるなよ、ちょっとくらい迷ってみせろ。
騙し甲斐がないじゃないか」
「はい、すいません」
「・・・・あやまるなよバーカ」
「バカって言った方がバカです」
「バカバカバーカ!」
「バカバカバカバカバーカ!」
「バカバカバカバカバカ・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・永遠につづく。
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4/1用に用意しておいたけど結局使わなかったシロモノ。
ドッキリしてもらうにはインパクトが弱いので……(エイプリルフールへの無駄なこだわり)
シブタク夢は無理そうだったのでとりあえずこっちをあげてお茶を濁しておきます。
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